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自動車の存在意義

あなたにとってクルマとはどのようなものでしょうか?

自己表現のツール?仕事で必要なツールの一つ?
自己満足?ただ好きなもの?家族の移動に必須の乗り物?
色々な役目があると思います。そして人によって大きく違うものです。

私にとってクルマとは
@日常の仕事の移動で必要なもの
@家族の移動に必要な交通手段
@趣味の一つ
考えただけでこの3つが出てきます。

私は昭和43年生まれ、丁度小学生になる前が高度成長期~エネルギー危機、
小学校~中学校位はたぶん排ガス規制や色々な環境が叫ばれていた時期で
自動車が「高性能」~「環境に準じる時代」へ移行していた時期です。
高校~大学はレースから出てきたオートバイが売られていて、クルマも
バブル期に向けまたスポーツカーなども復活していた時代です。

何より日本を代表する工業製品であるクルマが世の中は勿論、個人の中でも
大きなウエイトを占める時代であった事は間違いないと思います。

今はどうでしょう?
クルマ好き、と感じる人々はご来店頂くお客様の年齢層を見ても40代以上の
方が殆どで20代の方にはそれを感じるお客様はあまりいない気がします。

生活もどんどん便利になり、生活の中でのクルマの重要性も都会と地方では
大きく違うのは勿論ですが、クルマの占めるウエイトが大きく変わっています。

今年の春デビューしたトヨタ86/スバルBRZ、この車のキャッチコピーは
若い世代に自動車の魅力を伝える、そういう触れ込みだった気がします。
しかしいざフタを明けると買っている人は殆どがシニア層であり、トヨタ自身
もそれをターゲットにしていたと明言しています。

街の中古車屋が言う事では有りませんが、クルマを創造するメーカーの
姿勢が今のクルマを取り巻く環境を作って行きます。

結局本気でこれからの若い世代にクルマの魅力を伝えようなんて考えは
全く無いと言うことが私自身良く理解できました。

そもそもクルマがかつてのような「中心」ではなくなり、世の中がそういう
流れに変わっていっていると言う事でしょうか。。

数年前、当店がまだ小売店を始める前に海外のみに自動車を輸出している
時にアメリカのアリゾナ州に住む若い青年から電話を貰いました。

彼は電話で自分の持つ日産車への思いをさんざん告げて、最後にメールを
送るから見ておいて欲しい、そして返事を下さいといい電話を切りました。

そのメールには彼のガレージにある古いダットサン・ニッサンのクルマが
見えて、彼が本当に「古いニッサンが好き」な事が良く理解できました。

私は彼のリクエストに出来るだけ叶う1971年式、通称ハコスカを3ヶ月
掛けて探し出し、彼が住むアメリカ、ロスアンジェルスのロングビーチ港
に送りました。

彼が言っていたとても印象深い言葉が、
「YAS、僕が17歳の時にとある日本のカー雑誌で見たクルマに釘付けに
なったんだ。その時そのクルマを見て世界一セクシーなクルマだと思い
それ以来そのクルマの事が頭を離れないんだ。それが今回YASに頼んだ
ハコスカさ。僕の夢のクルマなんだ。とにかくコイツに恋してる。まだ
本物を見たことさえないけどね。。ハハ」

僕が彼に言ったのが
「ブライアン、どうしてそんな心を惹きつけられるんだい?好きな女
の子みたいなものかな?」

すると彼は
「ああ、まだ見ぬ彼女さ、でもそれだけじゃない。何かを感じる。。
なんていうかこのクルマをデザインして、レースで活躍させて、
そういったことを当時の持てる全てをぶつけて創造しようとした
人達の心を感じるんだ。僕にとってクルマは人生の大きな楽しみ
だから通勤に乗る車でも「ハートを感じない機械」は乗らない。
このハコスカを僕の手で世界最高の夢のカタチを実現したいんだ」

この言葉を聴いた時大きく感じたのが、アメリカはやっぱり大きな国で
クルマに対する「文化」があるのだなあと思いました。

自分の好きな車を自分の想いで自分の好きなように乗る、
これは決まったカタチややり方が当たり前に感じる日本との大きな
違いです。

その彼が夢を詰め込んだハコスカがこの写真です。

彼の相棒、71年式スカイラインのカスタムカー・イン・ザ・ステーツ

この写真を知合いに見せたところ
「これはちょっと駄目、こういうのはノーマルに忠実に戻さなきゃ。
 クルマが泣いてるわ。。アメリカ人はほんま無茶するねえ」と言いました。

それはそれで大切な考え方・意見だと思います。

でも私はブライアンの自由な発想は理屈抜きに楽しいし、そしてそれを誰も
否定しない土壌が根付いているアメリカはクルマの文化が根付いている
素晴しい所だと改めて感じました。

アメリカの若い世代はクルマに対してどう感じているか?
それは間違いなく日本人よりもまだクルマ好きです。

国土が広く、クルマが無いと生活がままならない地域が多いからという
のも一つの大きな理由でしょうが、今もまだまだ若い世代~オッサン世代まで
幅広くクルマはクルマとして大きな役割を果たしています。

日本じゃもう若い人が無理しなくて変える魅力のある車ありますか?
ハチロクを今の新卒の人が簡単に変えるでしょうか?
残念ながらそういう土壌は日本には根付く事が出来なかったようです。

彼のいった言葉「世界一セクシーなクルマ」、
人それぞれ感じ方だと思いますが、私もハコスカを見ると単なる機械
では無く「心を感じる工業製品」だと感じるタイプです。

そして古くなれば古くなるほどそのオーラが出てくる車が昔は
沢山あった気がします。

興味の無い人からすればただの屑鉄でしょうが、
私はやっぱりそういう心があるから中古車店を続けている気がします。

今回はただのひとりごと。

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71 GT R

こんにちは、
当方ロサンジェルスに20年程在住しているのですが、直接このオーナーと話をした事が有りませんがこの箱スカをフリーウェーで見た事がありますよ。こちらアメリカの雑誌にも度々掲載されていました。

貴社はこのオーナーの為に送った車両だったんですね。

良いですね!
特に日本を離れてこちらであの良き時代の車達に出会えた瞬間はドキッとします。
この前もフリーウェーでアメリカ人がR31スカイラインを走らせていました。

一時期こちらでR32からR34まで個人輸入するのが流行っており、日本人も輸入して乗っていた人もいました。ですが政府の規制が厳しくなり、R3X系のGT-Rは米国内からの締め出しを食らい、ほぼみる事が無くなりました。

ですが少数ですがビンテージカー枠で箱スカなどはまだ現存しています。

私も近い将来4枚の箱スカを輸入してこちらで走らせる計画をたてております。

では突然でしたがこちらで見た事のある車を送った方との事なので、一言ご挨拶代わりにお送らさせて頂きました。

Re: 71 GT R

遠くアメリカよりコメント有難うございます。
彼は今も私共のアメリカのエージェントとして頑張ってくれています。

アメリカの透き通る青い空にハコスカは似合いますね。
私自身スカイラインがスカGと呼ばれていた頃から大好きで、世界の
愛好家にお送りするお手伝いをずっと続けております。

いつでもお気軽にコンタクト下さい。
MONKY'S
YAS
十時 康博
ニコニコオート店長ご紹介

オーナー

Author:オーナー
ニコニコオートの店長です。
のどかな自然に囲まれた地域で、夏は直射日光、冬は暴風に見舞われながら日々楽しく中古車販売と海外への輸出を行っております。今年52歳です。お客様皆様に「楽天的」と言われております。こちらもご覧ください。
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